日本一周の旅が終わった後
正直な話、俺はまた目標を見失いかけていた。
【リオンくん、次は世界一周??】
そんなことをよく言われたが
なんだか、、、若者の間で流行りかけていた【世界一周】に
そこまで気乗りしない。
またフリーター生活に舞い戻っちまうのか、、、。
そんな事を考えていた夏の終わり、、、
素晴らしいタイミングで次の旅のキッカケが
俺の人生に舞い降りて来た。
ある日、インターネットで調べ物をしている時
某巨大掲示板の【ラーメン】スレをなんとなく見ていたら
自分にとって衝撃的なニュースが飛び込んできた。
『店長が辞めるらしい』
そんなニュースだった。
唐突すぎるので説明を
俺は18歳の時、ラーメン屋でバイトをしていた。
計4店舗あるその店を俺はグルグル回り
ひたすらバイトをしていた。
そのグループの中で一番最初に働いた場所こそが
『西岡津世志』さんが店長を務める西新井の店だった。
すごくお世話になったのに
俺はそのラーメン屋を とてつもなく身勝手で
ダサイ理由で 逃げるようにして辞めた。
そこからは一切そこのラーメンを食べずに過ごした。
本当は大好きで大好きで仕方なかったラーメンなのに
我慢して、一切食べなかった。
というか食べにいけなかった。
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それから2年が経った今
俺は偶然開いたインターネットで
ツヨシさんが店から去ることを知ったのだ。
いてもたってもいられず
気がつくと家を飛び出し、バイクにまたがり
足立区の西新井まで色んな事を考えながらバイクを飛ばした。
日本一周の時に気付かされた『一期一会』
せっかく出会えた人達との出会いを大切に守っていきたい
そんな事を感じていた。
西新井の店に着くと
もう行列ができていて、既に店の外に5、6人並んでいた。
順番が来て店に入ると、相変わらず厨房で頑張ってるツヨシさんの姿が見えた。
今更どんな顔して挨拶すればいいのか迷ったけど
そんなのは要らない心配だった。
入店して、目線が合っただけですぐに気付いてくれて
【ひさしぶりやな〜!!】
と、昔と変わらない笑顔で迎えてくれた。
話しだしたらキリがないから
ここらへんは大幅に省略するけど
“まとめるとこんな感じ”
↓
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ツヨシさんは独立し
京都のラーメン激戦区である一乗寺に自分の店をオープンさせるってこと
しかも店の名前が
夢を語れ
久々に胸が高ぶった
どーん!!っていう衝撃。
二年前にもツヨシさんは俺にこう言ってた
『いつか必ず独立するで~!』って
それも結構な頻度で、、、
いつもハイテンションな関西弁で そんな夢を語ってた。
それを
俺が知らない期間に実現させてた。
まさに有言実行。
その姿がカッコよくて 眩しすぎて
ものすごく俺の心を刺激した。
ごちそうさまです!京都で頑張ってください!
と、食べ終えたドンブリをカウンターに上げ
帰ろうとする俺に
ツヨシさんが
ナイスな企画を突然プレゼントしてくれた。
『まだ音楽やってる?
やってるならウチのテーマ曲作ってや』
...................。
なんだその熱い企画は!!
俺のテンションは爆発的に上がった。
しかし、、、問題がある。
ツヨシさんは俺の事をミュージシャンだと思ってるみたいだが
実際のところ、音楽なんて一切やってないただのフリーター
昔、バイト中にちょろっと
【ツヨシさん、ぼくギターやってんすよ、エヘヘ】
↑みたいなことを言ったのかもしれない、、、。
ギターは家にある。
ただそれはもうホコリまみれで、もはや
部屋のオブジェになってる。
その時だ。
店にサンプルとして飾ってあった新店【夢を語れ】のドンブリを見た。
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やらずに後悔したことがある
やって失敗したこともある
でも後悔はしてない
なんでもやったもん勝ちやで
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ほんまや!!
これにはガツンときた。
これは今までの自分の人生を塗り替えてくれる
素晴らしいキッカケになるかもしれない!
やったもん勝ち!!
本当は超不安だったけど
【書きます、曲、おまかせください】
と、ウソをつき(笑)
最後は店の前で握手して
『CDができたら京都に必ず郵送します!!店頑張ってください!』
そう約束した。
俺は再びバイクに乗り込み、環七をとばしながら
【うお〜!やるしかないぜ〜!!】と叫んだ。
この時の夜の国道の景色と
フルフェイスヘルメットの中に充満する
ニンニクの臭いは
一生忘れないだろう。
それから
1週間ぐらい経った時、俺は自分自身に驚いてしまった。
あれ、、、、
曲!!書けちゃった!!
これが、見事に情けない自分にも向けた歌詞にしたせいか
自画自賛してしまうくらい、なんだか熱い。
京都へ郵送という計画だったが
そんなんじゃなく、自分の記念すべき第一子を
そして、先輩の大事なオープン日なのだからなおさら
自ら届けに行こう!
ってことになった。
新幹線代を調べた
『あ~ やってられね~』って感じの金額
なら
ほら あれ
あれだな
ほら あれだよ
そうそう コレで行けや
ってことで日本一周の時の原付で京都まで行く事に決めた。
日本を駆け回ったんだ
京都なんて隣町みたいなもんだ!
俺は再び大型連休をとり、準備を始めた。
いつものバックパックなど
用意するにも時間はさほどかからなかった。
来る旅立ちの日
やっぱ京都らしい格好で行きたいと考え
着物で旅立つことに
2006年 秋 バカ1人 西を目指す
しかし
前々から着物で行く事を決めてたくせに
こんな着物が動きを規制されるものだと知らなかった
まずバイクに乗れない
これじゃ出発できない
しかたなく 着物の下にズボンをはき
雪駄をやめて いつものブーツに変更
しかも
その上から防寒対策でいつも冬には必ず来てるバイク用のダウンを着てみる
そして帽子被った自分を鏡でみた瞬間
俺は引いた
変態レベルのファッションセンス
こりゃいくらなんでもナシだな って事で
着物計画 即終了。
この無駄な茶番のせいで
出発が1時間半遅くなった
という思い出だけが残った。
いざ、脱ぎ捨てて
さぁ!旅へ!
流れる i pod から 一曲目は くるりの
『ばらの花』
やべ~ 超ピッタリじゃん! とか思いながら出発
まずは静岡方面へ!!
たった一杯のラーメンを食べるため
たった一枚のCDを届けるためだけに
5県をまたぐ旅
まあ 以上が経緯です。
ここからは旅の内容だけど 大雑把に書いていこう。
自分を見失わないために、大雑把に書こう。
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野宿したり
誰もいないコインランドリーで歌ったり
あの日々のように朝陽に感動したり
富士山をスルーして名古屋へ
ケツの痛みなんてどうってことない
俺はそれよりも、とにかく楽しかったんだ
旅は出会いの連続だ
日本一周中のチャリダー タツジさんと一緒にメシを食い
同じ場所で野宿した
楽しい夜だった
だから旅ってハマるんだと思う。
近くに線路があるため
タツジさんはうるさくて眠れなかったと言ってた。
でも俺は爆睡
朝食は ガスコンロで作るチャーハン
缶詰め みそ汁
何度でも生き返ってしまう。
仲間や、友人達が
頑張って就職活動をしている時
俺は、やりたいことをやった。
不安や羨みは、全部、パーキングエリアに捨てていった。
東京、神奈川、静岡、愛知、三重、滋賀と走り
京都に到着。
さあ!会いに行きますか!
ツヨシさんの店【夢を語れ】がある一乗寺へ向かった。
さんざん迷ったあげく
一乗寺にやっと着いて、やっと見つけた。
鮮やかなスカイブルーの看板
しかも超有名店『天天有』さんの隣っていうチャレンジ。
本当に店ができてる
熱すぎる
オープン前日、準備段階のお店
一足先に入れてもらった。
ツヨシさんの顔に心なしか覚悟が滲み出ていて
キラキラしてる。
【写真はご自由にどうぞ】の後に
待ち受け画面にしてもらえたら、、、
というコメントが、、、。
こういうトコのセンスが抜群。
あとはドンブリにも面白い言葉がたくさん。
追っている時のほうが
燃える
今すぐ
今すぐ
動け
そして
ドンブリの底には『夢を語れ』という言葉が。
【こういうの大嫌い】
そう思う人もいると思うけど
俺にとっては、そこらへんでヒットしてる歌詞よりよっぽど
心に響いた。
仕込みをするツヨシさんの背中が
やたらデカく見えた
このチャレンジ
成功とか 失敗とか
もはやそんなくだらない事じゃなく
本当に踏み出したことに意味がきっとあるんだ。
夜、ツヨシさんの家に泊まらせてもらう事になった
三階からは綺麗な花火が見えた
翌日
ひょんなことから
俺はオープニングスタッフとして働くことになった。
そこで初めてツヨシさんに俺が作った歌『夢を語れ』を聴いてもらった。
『どんな作品だろうと一発目から流すから〜』と彼は言っていたが
俺はすごく不安だった。
ツヨシさんのこの店のコンセプトは
若者が夢を持ち、実現できるような店を目指してるらしく
音楽やってる奴がいたら曲を流してやるし
絵を描いてる奴がいたら絵飾るし
お笑いやってる奴がいたら店で漫才やってもいい
そんな自由な店を目指してるらしい。
そんなラーメン屋あるのだろうか??
素晴らしすぎる
オープン当日
思わぬサプライズが待ってた
店の券売機に
俺の歌詞が大きく張り出されてる
なにこれ!?
って驚いてると
大量の歌詞カードが印刷されてる!
軽いパニックの俺に
ツヨシさんが
『200部摺っておいたから!ウチのテーマソング♪』
涙出そうになった
よく見るとラミで紹介文まで作ってくれてる
それはかなり目立つ所に設置されてた。
まったく無名のミュージシャンに
というかスタートを切ってすらいない自分の背中を
ドロップキックで押してくれた感覚。
ただでさえ店の出発でバタバタしてたはずなのに
こんな自分のミュージシャン活動の出発まで同時にやってもらって
もうホントに嬉しかった。
ここ、一乗寺の人はメチャクチャいい人ばかりで
たくさんの人と会話ができたし
オープン前には、既にツヨシさんが繋がりもっていた
周辺のお店の方も歌詞を見てくれたり
とても良いオープン前日を過ごした。
そして!
オープンの時が迫る
花が続々と届く
そしてオープンへ
【夢を語れ】が走り出した。
いい匂い
熱い厨房
お客さんの列
お客さんがラーメンを
美味しそうに食べてる顔
そして
どんどん減っていく歌詞の紙
6時間永遠リピートされる自分の歌(笑)
ソレを
まさか目の前に本人がいることも知らず
『なんかこの歌、、変じゃない?』
と厳しい意見を言ってくれるお客様
『いいねこの歌、これ誰?』
と歌詞見ながらお連れ様と会話してるお客様
どちらの意見も本当にありがたい言葉
動き出したものだけが
評価される。
なんもせず、グダグダ過ごし、ぬるま湯に浸かっていれば
評価されることさえなく
存在さえ気付かれない。
今までこんなたくさんの人に聴いてもらうこともなかったし
こんな生の声を頂くこともなかった俺としては
感動だった。
鳥肌が立ち
俺は、お箸やドンブリを洗いながら感動に震えていた。
すごく楽しかった
すごくあっという間に営業終了時間になった。
気が付けば
たくさんの物を得ていた。
まかないの一杯が身体に染み渡る美味さ。
知ってる人は知ってるかもしれないけど
ツヨシさんは都内の有名店で修行して、そのインスパイア系のラーメンだから
根強いファンの人達が都内にはたくさんいる。
でもまだ京都ではあまり知られてない
だからみんな、是非京都に行った時は
夢を語れで ラーメンを食べておくれ
計4日京都にいて 2日間
ご飯も 風呂も 寝床も用意してくれた
本当にありがたかった。
この『ラーメンパーク』と呼ばれる一乗寺に飛び込んだツヨシさん
思う存分暴れてください。
そう祈った
真っ青な空を見て思った
俺も有言実行だ!!
ってね
そして
お礼と別れの挨拶を告げ
俺の旅は終った。
また原付で東京までトロトロ帰る
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【夢を語れ】歌詞より
できる できない なんて
今から考える事じゃない
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ようやっと自分が進むべき道を見つけた。
音楽活動という名のレール。
脱線してしまうか
突き進むか
どっちにしたって終着駅はない。
このキッカケをくれた西岡津世志に感謝。
PS
来年は2007年、1月に俺も22歳になる。
初めてライブハウスで唄ってみようと思う。
詳細が決まったら、またお知らせするので
是非、見に来てほしいと思う。
曲作らなきゃ
今、1曲しかないから(笑)
RION